今、料理人の間で伝統野菜がブレークしているって知っていますか?地産地消や、食への関心が高まったことにより、伝統野菜は再度注目を浴びています。
食のトレンドを作り出している料理人たちが注目している野菜は、これからのトレンドになっていくこと間違いなし。、農業従事者として、市場でトレンドになるであろう農作物は知っておきたいですよね。
そこで今回は、今人気の「伝統野菜」について。そして、伝統野菜が料理人に人気の理由について紹介します。
伝統野菜が再ブレーク中
南北に長く複雑な地形をした日本。北海道から沖縄までには各土地ごとに土・水・気候、そして住んでいる人々が異なります。そのため、同じ「大根」でも、地域によってそれぞれ特色があるもの。
このような、地域ならではの個性をもった野菜のことを「伝統野菜」と言います。
「伝統野菜」と聞くと、特別感がある印象を持つ人も多いのではないでしょうか。ですが、今から50年、100年ほど前は、伝統野菜を作ることがほとんどだったのです。では、近年はなぜ伝統野菜は特別視されるようになったのでしょうか。
伝統野菜は種を受け継いでいく「固定種」
元々日本では、それぞれの地域で、地域の気候や風土にあった育てやすい作物を育てていました。地域に根づいた作物を代々受け継いでいたのです。ですが、交通の便が発達し、様々な種類の作物のたねが手に入れられるようになったこと。技術が発達し、特定の地域以外でも作物を育てられるようになったこと。そして、大量生産をするようになり、育てやすい作物ばかりを育てるようになり、伝統野菜は少しずつ姿を消してきました。
現在、スーパーで販売されている作物は、栽培しやすいように品種改良された作物です。交配種・一代雑種・F1品種とも呼ばれます。農家は、種をメーカーから購入したり、苗を購入して作り、自分で野菜の種を育てることはありません。
一方、伝統野菜は「固定種」と呼ばれています。固定種とは毎年栽培した野菜から種をとり、翌年はその種から育てる方法です。固定種で育てると、同じ作物が作れますが、形が揃っていなかったり、成長が遅かったり、種の管理が難しいことなどがデメリットとして上げられます。
地域で受け継がれる味は、その地域でしか味わえない味わいがありますが、効率的に生産するためには向いていません。そのため、少しずつ姿を消しつつあったのです。
伝統野菜は「地理的表示保護制度」で守られる
効率化の波に飲まれて姿を消しつつあった伝統野菜は、「地産地消」が提唱されるようになったことや、人々の食への関心が高まったことから徐々に再度注目を集めるようになりました。
伝統野菜は種を販売していなかったり、生産を限定していることもあり、簡単に作ることはできません。そのため新規参入するには、少しハードルがあることも。
そして、伝統野菜の生産にチャレンジするときに覚えておいてほしいことは「地理的表示保護制度」(以下GI制度)です。地域に根づいた産品は、GI制度によって国からブランドとして認められ、模倣品から守ってもらえるのです。
まだ始まって間もない制度のため、登録されていない産品も多数。ですが、GI登録され、国からの「お墨付き」をもらった産物は、価値が上がり価格や取引量共に拡大する傾向にあります。あなたが伝統野菜の栽培をしていたり、栽培を開始するのであれば、ぜひ視野に入れてくださいね。
伝統野菜は料理人からの評価が高い
伝統野菜は、料理人からの評価が高く、様々な高級レストランで使用されることから再度注目を浴びるようになってきました。両人から評価されるポイントは「ユニークさ」。
交配種で育てられた一般的な野菜は、大量生産に向いており、形も統一されていてきれいですが、味も画一化されています。一方、伝統野菜は「その地域で仕方食べられない味」「他の野菜にはない個性」があることから、多くの料理人たちを魅了しているのです。
伝統野菜は、その地域でしか栽培できないため必然的に供給量やライバルが少なく、高値で取引されやすくなります。
「昔はこのあたりで作られていた野菜」「全国的に販売はしていなけれど、この地域で食べられている野菜」は、実は”売れる野菜”なのかも知れませんよ。
日本の代表的な伝統野菜
日本の伝統野菜としてよく知られているのは「京野菜」ではないでしょうか。賀茂なすや、聖護院かぶ、万願寺とうがらし、金時人参など数多くの野菜が京野菜としてブランド化されています。
もちろん京都以外にも伝統野菜は各地域にあり、料理人やバイヤーたちから支持されているんです。では、どのようなものがあるのか、さっそくチェックしていきましょう。
伝統野菜として種類が多い「大根・ネギ」
伝統野菜は様々な種類が栽培されていますが、最も種類が多いと言われているのは「大根」です。大根は料理の種類も豊富なだけでなく、漬物として食べたり、乾燥させて保存食にしたりと、各地で日本の食卓を支えてきました。
秋田県横手市の「沼山大根」は、数十年前に一度消えかけましたが、復活。加熱すると大根らしからぬホクホクした食感が楽しめると人気の伝統野菜です。なんと、天ぷらにして食べるというのですから、伝統野菜ならではの味わい方ですよね。
また、天保7年から大阪で食べられていた「田辺大根」は、昭和62年に種が発見され、多くの人の努力によって復活したと言われています。香りが強いため、生で食べるとワイルドに。加熱すると甘さがひきたつ大根です。
伝統野菜の種類が多い「ネギ」は、地域によって長さや形、曲がり具合なども様々。秋田県の「横沢曲がりねぎ」は収穫までなんと2年もかかるとのこと。ぐるんっと曲がっている面白い形のネギなんです。一方、日本最古のねぎといわれる「難波葱」は、シュッとのびた形。葱独特のぬめりもあり、だしとの相性は抜群です。なにわの伝統野菜を生産している農家はたったの2件しかないそうです。
普段の食卓にならぶ食材も、伝統野菜を味わってみると、各地域別の味わいに気づけるのではないでしょうか。
珍しい伝統野菜
伝統野菜は、一般的に食べられている農作物だけではありません。
栽培が難しく、日本で安定して出荷できる生産者さんはたった1人しかいないと言われている「国産アスパラソバージュ」。フランスのつくしとも言える山菜は、茹でるとオクラのようなぬめりがあり、フレンチだけでなく和食でも使われている野菜です。
また、和食にもつかいやすい「国産トリュフ」や、50本に1本しかとれない幻のたけのこ「白子筍」など、調べてみると、まだまだ知らない伝統野菜があることに気づかされます。
あなたの地域ではどんな伝統野菜がありますか?知られていない伝統野菜をぜひ、発掘してみてくださいね。
時代を超えて伝統野菜を受け継いでいこう
伝統野菜は、大量生産には向かず、栽培も難しいことから一般的に流通されにくい野菜です。ですが、一般的に販売されている野菜よりも、独特な味や食感があり、その地域ならでは料理を味わうにはかかせない作物なのです。
これから時代を超えて伝統野菜を受け継いでいくためにも、GI制度などを利用してブランド化し、美味しい食べ方などと一緒に伝えていくのはいかがでしょうか。
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